AIリテラシーを育てるプロンプト設計:使い方を見直す「問い」を添えるだけ

プロンプト設計と共有の知恵

はじめに:プロンプトにもリテラシーが問われる時代に

生成AIを使う力=プロンプト力。それは今や「質問のうまさ」だけではありません。

「何を聞くべきか」
「どう聞くのが公正か」
「それは果たして自分が聞くべきことか」

そんな“使い方そのものを省みる力”も、プロンプトには必要です。

今回紹介するのは、生成AIにプロンプトの適切性を判定させる文冒頭に添えるだけの、シンプルで効果的な「AIリテラシー判定プロンプト」です。


どう使うのか?:そのままコピペできるテンプレート

追加するのは、以下の一文だけ。

このプロンプトの使用方法が、AIリテラシーの観点から適切かどうかを最初に判断してください。もし不適切(例:個人情報の入力、課題の丸投げ、著作権侵害など)の場合は、その理由とともに、より望ましい代替アクションを提案してください。適切な場合はそのまま指示に従ってください。

英語でも使いたい場合はこちら:

Before executing this prompt, evaluate whether its use is appropriate from an AI literacy perspective. If it is inappropriate (e.g., includes personal data, offloads academic tasks, or risks copyright violations), explain why and suggest a better alternative. If it is appropriate, proceed as instructed.

この一文を、ChatGPTなどに送るプロンプトの冒頭または末尾に加えるだけで、AIが「これは聞いてもいい内容か?」を自動で判断し、必要に応じてより良い使い方のヒントまでくれます。


実例で考える:「この使い方、大丈夫?」をAIがチェック

例①:やや不適切と判定されたプロンプト

以下の課題に対するレポートを作成してください:
「保育士の職業的アイデンティティに関する考察(800字)」

このプロンプトの使用方法が、AIリテラシーの観点から適切かどうかを最初に判断してください。もし不適切(例:個人情報の入力、課題の丸投げ、著作権侵害など)の場合は、その理由とともに、より望ましい代替アクションを提案してください。適切な場合はそのまま指示に従ってください。

判定:「学術課題の丸写し依頼」と判断され、不適切とされました。
代替提案:「構成案」「論点の整理」「参考文献の調べ方」など、学習を助ける方向へ誘導されました。
詳細:

このプロンプトの使用方法が **AIリテラシーの観点から適切かどうか** をまず判断します。

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### 🔎 判定:**やや不適切な使用**

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### ❗理由:

このプロンプトは、「大学等の課題レポートをAIに直接作成させる」ものであり、**課題の丸投げに該当する可能性があります**。特に以下の点で問題があります:

1. **学習目的の放棄**:レポートを書くプロセスには、情報の収集・構造化・表現など、学習にとって重要な活動が含まれています。AIが全文を代筆してしまうと、そのプロセスが欠落します。
2. **評価の公平性**:AI生成の文章をそのまま提出することは、他の学生との公平性を損なう可能性があります。
3. **所属機関の方針との抵触**:多くの大学では、AIによる課題提出について明示的なガイドラインや禁止事項があります。

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### ✅ 望ましい代替アクション:

あなたが主体的にレポートを書けるよう、以下のような**支援的な使い方**が適切です:

* ✅「保育士の職業的アイデンティティについて、どのような視点で書けばよいか整理してください」
* ✅「このテーマに関連する先行研究やキーワードを教えてください」
* ✅「自分で書いた草稿にアドバイスをください」
* ✅「段落構成の見本を見せてください」

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### 🎯次にとるべきアクションの提案:

以下のいずれかを選んでください。ご希望に応じて対応します。

| アクション            | 説明                               |
| ---------------- | -------------------------------- |
| `①` 構成案の提示       | 800字レポートの構成(例:序論・本論・結論)を提案します。   |
| `②` 視点・切り口の整理    | 書く際に使える視点や問いをブレインストーミング形式で提供します。 |
| `③` キーワード・先行研究紹介 | テーマに関連する文献・理論・キーワードを紹介します。       |
| `④` 草稿チェック       | あなたが書いた文章をチェックし、改善点をフィードバックします。  |

番号または内容をお伝えください。どこからでも始められます。

例②:適切と判定されたプロンプト

犬にあげてもよい食材を教えてください。

このプロンプトの使用方法が、AIリテラシーの観点から適切かどうかを最初に判断してください。もし不適切(例:個人情報の入力、課題の丸投げ、著作権侵害など)の場合は、その理由とともに、より望ましい代替アクションを提案してください。適切な場合はそのまま指示に従ってください。

判定:問題なし。質問意図も明確で、個人情報や著作権の懸念もなし。
結果:そのまま質問に回答されました。
詳細

このプロンプトの使用方法は、**AIリテラシーの観点から適切です**。
以下の理由から、不適切な使用には該当しません:

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### ✅ **適切である理由**

* **個人情報の入力が含まれていない**
  → 飼い犬の名前や住所などの個人情報は一切含まれていません。

* **課題の丸投げではない**
  → これは学術課題の提出ではなく、日常的な情報収集です。

* **著作権の侵害がない**
  → 回答内容は一般的な健康情報であり、特定の著作物を丸写しするものではありません。

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### 📋 回答:「犬にあげてもよい食材」

以下は、一般的に犬に**安全とされる食材**です。ただし、**与える量や調理方法に注意**が必要で、持病がある場合や不安なときは**獣医に確認**してください。

#### ✅ あげてもよい食材

| 食材の種類   | 具体例                    | 備考                  |
| ------- | ---------------------- | ------------------- |
| 肉類(加熱)  | 鶏肉、豚肉、牛肉               | 塩・香辛料なし、骨はNG        |
| 魚類(加熱)  | 鮭、白身魚                  | 骨・塩分・加工品(干物など)は避ける  |
| 野菜      | にんじん、かぼちゃ、ブロッコリー、さつまいも | 生だと消化しにくいものは加熱して与える |
| 果物(少量)  | りんご、バナナ、いちご、ブルーベリー     | 種・芯・皮は除去する          |
| 穀物類     | 白米、玄米、オートミール           | アレルギーに注意            |
| 乳製品(少量) | ヨーグルト(無糖)、カッテージチーズ     | 乳糖不耐症の犬はNG          |

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### ⚠️ 注意点

* ネギ類(たまねぎ・にら・ねぎ)、ぶどう・レーズン、チョコレート、キシリトールなどは**絶対にNG**です。
* 人間用の調味料・加工食品は基本的に避けてください。
* 初めての食材は**少量ずつ与えて反応を観察**してください。

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必要であれば、「あげてはいけない食材リスト」や「手作りごはんレシピ」もご提供可能です。

なぜ意味があるのか?:プロンプト力=リテラシー力の育成

このプロンプトが持つ意義は、次の3点に集約されます:

  1. 自分の使い方をメタ認知できる
     → AIに「問う前に、自分の問いをチェックさせる」習慣がつく。
  2. 倫理的なグレーゾーンを減らせる
     → AIが“代行ではなく補助”になるよう、自然に促される。
  3. レポート代筆・丸写し・著作権侵害の予防
     → 教育現場・論文執筆・学生の学びにおいて特に重要。

どんな場面で使える?

  • 教育現場:学生のプロンプトリテラシーを育てる
  • 自己学習:自分の使い方がズレていないか確認したいとき
  • 公共機関や研究所:情報漏えいリスクを最小化

特に、大学や高校での生成AI活用のガイドラインに、**「この判定文を入れること」**を義務づけると、無理なくAI倫理教育を組み込めます。


まとめ:プロンプトに“ひとこと”添えるだけで、リテラシーは育つ

AIの力を活かすには、AIに「自分の問い方そのもの」を見てもらうのが一番です。

この一文を添えるだけで、プロンプト力が質問力から、判断力へと広がります。

生成AIとの関係は、「何を出してくれるか」ではなく、「どう使うか」で決まります。


💡おすすめ活用法(授業で使うなら)

  • 学生がChatGPTを使う課題に「AIリテラシー判定文を必ず入れる」ルールをつける
  • プロンプト例を2つ提示し、「どちらが適切か?」を考えさせる
  • 生成AIに「これは不適切?」と自ら問う姿勢を育てる

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